あまりにも若い

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俺の肩をポンと叩く


時間、そうしていただろう。
カーテンの隙間から朝日が差し込んで、俺に朝が来たことを告げる。
それでも花音は目を醒まさず、眠ったままだった。


隣の部屋で、俺の携帯が鳴る。
兄貴が『マネージャーからだぞ?』と声を掛けるが、俺は出る気にならなかった。
しかたない、と諦めた兄貴が応対に出る。


『今日はドラマの撮りがあるんですが…』


俺だって、自分のスケジュールくらい把握してるさ。
でも今日は行けない…行きたくない。
ここを…花音の傍を離れるなんて無理だ。
そう言った俺に、兄貴は窘めるように言う。


「それで花音さんは喜ぶと思うのか?
 俳優・北大路悠月を誰よりも応援してくれたのは花音さんだろう。
 昨日の今日で辛い気持ちはよくわかるが、冷静になりなさい。」




「お前が帰ってくるまで、ちゃんと見てるから。
 さっさと仕事を終わらせて、帰ってきなさい。」


スッと差し出された俺の携帯。
電話の向こうで息を呑むマネージャーに。


「1時間後に下に車付けといて。
 それと、今日のスケジュールはドラマの撮り以外はキャンセルして。」


それだけ言うと電話を切った。
そして、眠り続ける花音にまた囁く。


『ごめんな。仕事行ってくる。
 お前の大好きな北大路悠月を見ててくれよ。
 大丈夫、すぐ戻るから。ゆっくり休めよ。』


そして、花音の頬にキスを落とし、立ち上がった。